IL CARTAIO
デス・サイト

Also Known As: The Card Player(2003), Al buio - early title

2004 Color

 


[STAFF]
監督:ダリオ・アルジェント Dario Argento
脚本:ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ  Dario Argento、Franco Ferrini
制作:クラウディオ・アルジェント Claudio Argento
音楽:クラウディオ・シモネッティ Claudio Simonetti
撮影:ベノワ・デビエ Benoit Debie
編集:ウォルター・ファサーノ Walter Fasano
第一助監督:ファブリツィオ(ロイ)・バーバ Fabrizio Bava
特殊効果:セルジオ・スティバレッティ Sergio Stivaletti
ステディカム操作:アレッサンドロ・ボロネージ Alessandro Bolognesi
衣装:パトリティア・チェリコーニ、フローレンス・エミール Patrizia Chericoni、Florence Emir
美術:アントネッロ・ゲーリング Antonello Geleng
配給: メデューサ Medusa
制作: オペラフィルム、メデューサフィルム Opera Film, Medusa Film
[CAST]

アンナ・マリ:ステファニア・ロッカ Stefania Rocca
ジョン・ブレナン捜査官:リアム・カニンガム Liam Cunningham
3人目の犠牲者:ベラ・ジェンマ Vera Gemma
ステファノ・モリアネリ Stefano Molinari
青年レモ:シルビオ・ムッチーノ Silvio Muccino
モルガーニ警部:マリオ・オピナート Mario Opinato
マルタ:コンチータ・プリーシ Conchita Puglisi
警察署長の娘ルシア:フィオーレ・アルジェント Fiore Argento
カルロ・ストゥルニ:クラウディオ・サンタマリア Claudio Santamaria
クエストール:アルベルト・マリア・メッリ Adalberto Maria Merli
ベラルデッリ:コシモ.フスコ Cosimo Fusco
フランチェスカ:ミア・ベネデッタ Mia Benedetta
マリオ:クラウディオ・マゼンガ Claudio Mazenga
マリーニ長官:アントニオ・カンタフォーラ Antonio Cantafora
運輸課主任:ピエール・マリア・チェッキーニ Pier Maria Cecchini
ハッカー捜査官:カルロ・ジュゼッペ・ガブルディーニ Carlo Giuseppe Gabrdini
ハッカー捜査官:フランチェスコ・グッゾ Francesco Guzzo
アルヴァロ:ユリシーズ・ミネルビーニ Ulysses Minervini
ハッカー捜査官:アレッサンドロ・ミスティケリ Alessandro Mistichelli
法医学医師:ルイス・モルティーニ Luis Molteni
モルガーニ:マリオ・オピナート Mario Opinato
テルジ教授:ミカエラ・ピナテッリ Micaela Pignatelli
クリスチーヌ・ギルドラー:ジェニファー・ポリ Jennifer Poli
犠牲者:エリザベッタ・ロケッティ Elisabetta Rocchetti
殺人課主任:ジョバンニ・ヴィセンティン Giovanni Visentin

その他の情報

撮影開始:2003年3月10日、第1撮影部分終了:4月18日、撮影再開:5月5日、イタリアでの劇場公開:2004年1月

スタジオ:チネチッタ・スタジオ(ローマ)
ロケ地:Garibaldi monument; Parioli; Botanical Gardens; Via Ginicolo; The Pantheon; River Tiber(いずれもローマ)

サウンドトラック

[STORY]

 女性警察官のアンナ・マリは連続殺人犯との危険なオンラインポーカーゲームに巻き込まれていた。もしアンナが負ければ、犠牲者の喉が鋭いナイフで切り裂かれるのだ。犯人はウェブカメラで、その惨劇をクローズアップでライブ中継することになる。アンナは英国人のジョン・ブレナン捜査官と一緒に犯人捜査に乗り出す。

アルジェント版ドクトル・マブゼ

 当初の脚本ではベニスを舞台に、アーシア・アルジェントをアンナ・マンニ刑事役に起用し、『スタンダール・シンドローム』の続編的な展開が予定されていた。
 しかしアーシアは「xXx2」への出演を優先させたため、出演が不可能になった(ただし、アーシアは結局、同作品には出演しなかった)。そのため、アルジェントとフランコ・フェリーニはプロットや設定を洗い直した。ベニスでの撮影は予算がかかりすぎる為に中止し、登場人物の性格や犯人像を書き直した。
 アルジェントは映画の物語を進めるのに、運河や橋、ゴンドラといった道具立ては不要だと決断し、映画の舞台はベニスから『歓びの毒牙』と同様ローマへ移った。物語の重要な部分は全てローマで展開する。今回、アルジェントはフリッツ・ラングの「ドクトル・マブゼ(「大博打師」と「犯罪地獄」の2部構成)」から啓発されたようだ。

自然光の試み−アルジェントインタビュー

 2003年6月、フランチェスコ・ロカーヌはローマで、新作について、ダリオ・アルジェントにインタビューを行った。以下のインタビューは、イタリアの月刊誌デュエルのために行われたものである。

−−「カードプレーヤー」はどんな映画ですか。いつ公開されるのでしょうか。
映画はイタリアで10月に公開される予定だ。フランス、スペイン、イギリス、ベルギーなど、この映画を買い付けてくれた国ではその後の上映になる。理解してもらえると思うが、撮影中は映画のあらすじについては教えたくないんだ。うまく構成できないんだよ。おおまかにいえば、警察の捜査官の話だ。彼らは非常に変わったやり方で連続殺人を犯している犯人を追っている。犯人は少女を誘拐して、捜査官とインターネットポーカーゲームをする。捜査官が勝てば、少女を自由にするが、もし負ければ少女を殺してしまう。こうしてゲームが進んでいく・・。

−−この映画のアイデアはどこからうまれたのですか。
このアイデアはもう3年以上前に生まれたものだ。わたしは数人の脚本家とテレビのために、いくつかの原案をあたためてきた。そのなかに、デ・カタルドとフェリーニがいて、国営放送のRAIのために8つのエピソードを作ったんだ。わたしはそのうちの2つの話をざっと書き上げた。そのうちの1つが殺人者と警官の勝負を扱っていて、それを映画化しようと決めた。

−−今はどのように書いているのですか。いつものようにホテルの部屋に缶詰めですか。
「カードプレーヤー」を書いている間は、ホテルに缶詰め状態だった。ただ、映画の最初の部分は自分の家で書いた。古いアパートでだ。そこは何もなくて、本当に孤独になれる環境なんだ。そうした孤独感は作家の創造力に適していると思う。

−−俳優との関係はどうでしたか。
俳優は色々な人がいて、良好な関係だった。ステファニア・ロッカはすばらしくて、よく気が付くうえに、勇敢で強い女優だ。(イタリアで最も有名な映画学校の)チェントロ・スペリメンターレでもっとも優秀な生徒のひとりだよ。クラウディオ・サンタマリアもとてもよくやってくれた。彼は出番は少ないが鋭い役を演じている。映画ではビデオゲームの達人を演じたシルビオ・ムッチーノはとても若く、そうした種類の才能がある子役だ。わたしが調べたところ、そうした子供はたくさんいたので、彼らに会って話をしたんだ。彼らは驚くべき早さでゲームをするね。リアム・カニンガムは映画「トゥルー・ナイト」にも出演している有名なアイルランドの俳優だ。彼は非常に良い舞台俳優で、わたしはイギリスに行って彼と会い、彼を抜てきした。まるで、兵士のように演技をする。映画のなかで、彼が銃を使わなければいけないシーンがあるが、彼はまさに兵士のように演じた。まるで手慣れた兵士が銃を使うようだった。彼の役は、イギリス人少女の殺人事件の捜査をしているイタリアの警官を助けるためにローマにやってきたイギリス人の警官だ。彼らはイギリスとイタリアで、警察のシステムや価値観、捜査方法が違うために対立する。いつものことだが、わたしは、違う世界にやってきた異邦人の姿に興味を持っている。彼らは、ある部分では新しい現実を受け入れ、ある部分では、受け入れないのだ。ちょうどわたしが外国にいるときと同じだ。わたしはアメリカに長期滞在しているときは、アメリカ人のように過ごす。野球のチームを応援したり、彼らがよく行くような店に飲みにいく。しかし同時に、ある意味では、よそ者だとも感じる。わたしはこの相反する感情に魅了されており、こうしたよそ者の話を書くことが多いのだろう。

−−撮影監督は「アレックス」のベノワ・デビエですね。一緒に仕事をしていかがでしたか。
彼と組んだのは、撮影で実験をしたかったからだ。照明を使わずに、自然光を使ったのだ。太陽光や月の光、蛍光灯、街灯など。わたしは、この10年で最も美しいと思われる映画「花様年華IN THE MOOD FOR LOVE」の撮影に打ちのめされてしまった。そこで、その映画の2人の撮影監督のうちのひとりであるリー・ピンビンを探したが、なかなか連絡が付かなかった。そこで、「ヴォーダンの獣」の撮影監督ダン・ローストセンとも連絡を取った。彼も少なくとも部分的には自然光を使っていたからだ。そして最後に「アレックス」の監督、ギャスパー・ノエにパリで会い、彼がベノワ・デビエと連絡を取るように勧めてくれたのだ。彼は、ベルギー人でわたしが心に描いていたような撮影をする人物だった。ベルギーは、ハリウッドに比べれば映画制作に対する予算が非常に少ない国だ。だからこそ、自然光で撮ることがうまいのだろう。例えば、ダーデンヌ兄弟が良い例だ。ベルギー人は光の指導者のようだ。彼らは光をできる限り自然にしておこうとする。そのため、全般的に日常の風景が得られる。正直にいえば、撮影で譲歩しなければならなかったのは、いくつかのシーンを照らすために木製の街灯を8つ作ったことだけだ。

−−この映画はいつものようにアンナ・ナポリが編集していません。誰が編集を手掛けたのですか。
ウォルター・ファッサーノという若手に頼んだ。チェントロ・スペリメンターレの秀才で、既に多くの作品を手掛けている。大変映画を良く理解していて、初めて彼に会ったとき、彼は、どれだけわたしの映画を良く知っているかを披露してくれた。

−−ローマとの関係についてお聞きしたいのですが。監督は、初期の作品では他のイタリアの都市とともに、奇妙なローマを描いていらっしゃいます。とりわけ「インフェルノ」と「シャドー」では、非常に独特な都市観を持たれているようにみえます。しかし、おそらくアメリカに長期滞在した後、監督はこうした道を捨ててしまったのではないかと思うのです。その代わり、「カードプレーヤー」では、ローマが再び重要な都市として描かれています。
わたしは、何度もローマを映画に登場させてきた。ある意味では、「インフェルノ」における魔術という試みと「シャドー」における形而上的な試みの後、ローマは興味の対象ではなくなっていた。新作では、ローマでは、都会的な捜査が行われる。良く知られたローマではなく、ローマの近郊を描きたかった。数年前の選挙運動中に知った地域だ。その当時、わたしは選挙の立候補者だった。その当時は、ローマのはずれまで行った。住居にも、店にも、スーパーマーケットにも出かけて行った。建築家的視点からも非常に興味深く郊外を探索できるチャンスだった。「カードプレーヤー」では、下町にあるオクタビアの入り口と、最近の映画にはめったに登場しないローマ近郊を描きたかった。わたしは、ローマが好きだ。わたしの街だからだ。しかし、大好きだとまではいえない。映画を撮るときは、知られた部分と、隠された部分という街の両面を描こうとしている。

−−われわれのスクリーンを侵略している新しいホラー映画の潮流をどう思いますか。アメリカ映画におけるリメイクについてはどうでしょうか。
東洋のホラー映画の新潮流は興味深い。イタリアでも、日本や韓国の映画は良く知られていないが、香港映画は一般的になっている。こうしたホラー映画制作におけるドライなスタイルがアメリカのホラーにも影響を与えていると思う。本当にこっけいだ。おそらく、もっと緊張感があり、大人向けのホラーに立ち返って行くのではないだろうか。

−−次のプロジェクトは動いているのでしょうか。
1年間、あたため続けているアイデアが頭のなかにある。練り上げているところだ。テレビ向けの企画もまだ残っている。

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