LA SINDROME DI STENDHAL
スタンダール・シンドローム

Also Known As: The Stendhal Syndrome、Stendhal's Syndrome

Stendhal Syndrome


1996 Color


 


[STAFF]

animation監督:ダリオ・アルジェント
製作:チネ2000/メデューサ・フィルム
制作:ダリオ・アルジェント、ジュゼッペ・コロンボ
ラインプロデューサー:ウォルター・マッシ
配給:SHOOTシネマ企画/ギャガ・コミュニケーションズ/イメージファクトリー・アイエム
脚本:ダリオ・アルジェント
原案:ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ
撮影:ジュゼッペ・ロトウンノ
音楽:エンニオ・モリコーネ
美術:マッシモ・アントネッロ・ゲーリング
衣装:リア・フランンチェスカ・モランディーニ
編集:アンジェロ・ニコリーニ
特殊メイク:フランコ・カザーニ
ヘアメイク:フェルディナンド・メローラ
メイクアップ:グロリア・ペスカトーレ
第2班監督:ルイジ・コッツイ
助監督:ファブリツィオ・カンパネッラ、フィリポ・マッッチェローニ、ダニエレ・ペルシカ
特殊視覚効果:セルジオ・スティバレッティ
特殊効果:ジョバンニ・コリドーリ
ユニットマネジャー:フィオーレ・アルジェント、レナータ・パッカーレ、マウリツィオ・ピーナ、ルッジェロ・サルバドーリ
セット:ジョバンニ・ナルタッチ
セット助手:ミカエラ・ジソッティ
小道具:ダニーロ・パノッタ、ジュゼッペ・パノッタ
大道具:ダンテ・プレセッティ、クラウディオ・クワリエッティ
塗装:クラウディオ・テデスコ
ADR編集:ニック・アレキサンダー
マイク操作:ピエロ・フォンディ
音楽助手:アンドレア・モリコーネ
音響ミキサー:カルロ・パルミエリ、リカルド・パルミエリ
音楽ミキサー:フランコ・パトリナーニ
音楽コーディネーター:クラウディオ・メッシーナ
セルジオ・スティバレッティ助手:ダニエレ・アウバー、フランチェスカ・R・ディ・ヌンツィオ、ミスチャ・クープマン、ダリオ・レガ
照明:ロドルフォ・ブラムッチ、ダリオ・バディア、レナート・サルディーニ
電気:ジュゼッペ・ベルトゥッチ、アルフレード・ブラムッチ、ステファノ・ドフィツィ、マッシミリアーノ・サルディーニ
スクリプト:マリア・ボルジオッティ
スクリプト助手:メリッサ・ストリッツィ
秘書:ラウラ・カンパネッリ、バーバラ・スポレティーニ
制作助手:リカルド・カリンキ
グリップ:クラウディオ・デル・ゴッボ、マウロ・ディアマンティ、ロベルト・ペッキ
第2班撮影監督:ロベルト・ジロメッティ
第2班カメラ助手:ルチオ・グラネッリ
第2班グリップ:ファビオ・カルッシ
フォーカス:ロベルト・デ・アンジェリス
第1カメラ助手:ロレンゾ・トボリ
カメラ操作:ジョバンニ・フィオーレ・コルテラッキ
秘書助手:リカルド・フォルゴーレ、トマッソ・パンターノ
編集助手:カーラ・フナーリ
スチール:フランコ・ヴィターレ
経理:ベニート・マンシーニ
宣伝:パオロ・パゲッタ(ローマ)
子供の声:アレクシーズ・シュワルツ
衣装制作:ベルティラ・シルベストリン
衣装助手:ステファニア・スビゼレット
コンサルティングアカウンタント:アンドレア・ティニレッロ

[CAST]

asiaアンナ・マンニ捜査官:アーシア・アルジェント
アルフレード・グロッシ:トーマス・クレッチマン
マルコ・ロンギ:マルコ・レオナルディ
カバンナ医師:パオロ・ボナチェッリ
マリー:ジュリアン・ランブロスキーニ
アンナの父親:ジョン・クエンティン
犠牲者の夫:フランコ・ディオジェーネ
店の店員:ルチア・スターラ
フィレンツェの犠牲者:ソニャ・タポジオ
ジュリオ:ロレンゾ・クレスピ
婦人警官:ベラ・ジェンマ
水力技師:ジョン・ペデフェリ
マリーの母親:ベロニカ・ラザール
検死官:ダイアノ・マリオ
少女時代のアンナ:エレノラ・ヴィジーニ
ルイジ:マクシミラン・ニージ
アレッサンドロ:レオナルド・フェラレンティーニ
ファウスト:サンドロ・ジョルダーノ
アルフレードの妻:チンツィア・モンリール
アルフレードの息子:マイケル・キャプラン
40歳の女性:ラウラ・ピアテッラ
40歳の女性の息子:ビンチェンゾ・ウッチェリーニ
30歳の女性:エレーナ・バルマーニ
美術館の警備員:アントニオ・マルジアントニオ
ホテルのポーター:ルカ・カミレッティ
検死官2:グラツィアーノ・ギウスティ
フィレンツェの女医:モニカ・フロレンティーニ
フィレンチェの医師:ジャンカルロ・テオドーリ
警官:アントネッロ・ムリュ
食堂車の給仕:マルナ・デル・モナコ
犠牲となった夜警:マリア・グラツィア・ナザーリ

その他の情報

フィルムネガフォーマット:35mm
現像:スフェリカル
フィルムプリントフォーマット:35mm
画面比 1.66:1

公開日:イタリア1996年1月26日、オランダ1996年4月、カナダ 1996年9月(トロント映画祭にて)、ノルウェー1996年11月19日、英国1997年2月(ビデオリリース)、ポルトガル1998年4月(ビデオリリース)、米国1999年5月18日(ビデオリリース)日本 1996年6月15日(新宿・シネマカリテにてレイトショー)
時間 : 118分
字幕 : 岡田壮平

録音ドルビーデジタル
撮影地ローマ、フィレンツェ、ヴィテルボ(イタリア)
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キネマ旬報掲載:批評1195号、グラビア1194号

ストーリー

Asia Argento 主人公アンナは若き女捜査官。彼女は15人の女性がレイプされ殺害された連続猟奇レイプ殺人事件を調査すべく、フィレンツェを訪れている。ウフィッツイ美術館。アンナは、情報提供者から呼び出された先の名画の前で、絵の中に吸い込まれた気分になって失神する。作家スタンダールが経験したという「スタンダールシンドローム」に襲われたのだった。彼女を助け起こしてくれた男こそ、犯人アルフレイドだった。アルフレイドはその夜、ホテルでアンナを襲い、カミソリで切りつけて暴力的に犯したあげく、目の前で娼婦を惨殺して逃亡してしまう。
 上司のマネッティ警部に休養を取らされ、長い黒髪も切り、故郷ビテルボに帰ったアンナ。父や弟たちが彼女を迎える。同僚で恋人のマルコが護衛してくれるがレイプのショックから立ち直れない。ある夜、近所で娼婦が惨殺される。そしてアンナは再びアルフレイドに襲われた。森の奥深くの洞窟に監禁され、強姦されるアンナ。だが、彼女はすきを見て反撃し、アルフレイドに重傷を負わせて激流に蹴り落とした。だが、彼の死体は下流の迷路状の水路に迷い込み、発見されなかった。
Asia  街へ戻ったアンナは不安な日々の中、金髪のかつらで変身、カウンセリングのカバンナ医師も不安げに見守る。彼女はフランス人の美術助手マリーと知り合い、愛し合うようになるが、その矢先、マリーは美術館で殺されてしまう。「アルフレイドが生きている」とアンナは狂乱する。家に戻った彼女をカバンナ医師が待ち受けていた。アルフレイドの死体発見のニュースと共にマルコが駆けつけたとき、医師は血まみれで死んでいた。
 マリーを殺したのはアンナだった。レイプで心が傷ついた彼女は、自らアルフレイドに同化してしまったのだった。マルコを殺し、街をさまよい歩いている彼女をマネッティ警部が捕まえ、抱き上げて病院に運ぶ。

スタンダール症候群

poster  スタンダール・シンドロームのストーリーを生むきっかけとなったのは、イタリアの心理学者グラツィエラ・マゲリーニが発表した「LA SINDROME DI STENDHAL」である。同書は、「赤と黒」で著名なフランスの作家スタンダールが、1817年にフィレンツェの教会で美しいフレスコ画の前に立ったとき、そのあまりの崇高さ、すばらしさに触れたことによって興奮し、めまいに襲われ失神したことを伝えている。マゲリーニは同様の体験をした人間が数多くいることを確認し、この症状に「スタンダール症候群」と名付けた。アルジェントはここからヒントを得て、そこに自らの少年期の同様体験を重ね合わせ、物語を仕立て上げた。

 当初は米国を舞台にして、ブリジット・フォンダ主演で撮る予定であったが、より芸術的な雰囲気を求めて、舞台をイタリアに変更、主演も『トラウマ/鮮血の叫び』に引き続きアーシア・アルジェントを起用した。

 音楽はエンニオ・モリコーネに決まる前は、英国のバンド、マッシヴ・アタックが予定されていた。

ステディカム嫌いのロトゥンノ

 スタンダール・シンドロームではアルジェントは撮影監督のジュゼッペ・ロトゥンノと仕事をした。ロトゥンノはステディーカムの使用を避けたがった。アルジェントが被写体を追ってカメラを動かしたいと主張すると、ロトゥンノは必ず、ステディーカムは使いたくないと嫌がったという。

 スタンダール・シンドロームでは、アーシア・アルジェントが絵の中へ入り込むシーンや、飲み込んだ錠剤が喉を落ちていくシーンなど、コンピューター・グラフィックスが多用されている。アルジェントはコンピューターを使うことで生まれてくる様々な可能性が好きだという。実施に存在しないような風景を作ることもできるなど、コンピューターは素晴らしい道具だといえる。撮影に関しても、特定の場所や特殊効果のスタジオに缶詰めになる必要もない。

悪夢の現実化

 アルジェントは撮影前に完璧なストーリーボードを用意する。ダリオ・アルジェントは撮影現場では何が必要かという本能的な感覚を持っているのだ。もし、自分のイメージの映像化が難しければ、それが可能になるまで何回もアイデアを練り直す。「映画はわたしの夢を現実化するものだからだ」とアルジェントは説明する。「全く形を変えずに自分の夢を視覚化しようと思っている。色彩やその他、いろいろの技術を使って夢を再現するのだ」。

 『スタンダール・シンドローム』ではアンナが水中で巨大な魚とキスするシーンがある。「わたしが表現する対象物の意味するものは人によって解釈が異なるはずだ」とアルジェント。アルジェントのトレードマークの1つである水でさえ、それを恐がる人もいるし、魅力的に思う人もいるだろう。

バージョン違い

  アンナのフランス人の恋人マリーが美術館で殺された後、空港に自家用機で到着したマリーの母親(ベロニカ・ラザール)に自動車でやってきたアンナが泣きながら抱き合うシーン、ボクシングジムで鼻血を流すシーンの少し前、アンナがレイプ事件の関係者に電話をかけ、被害者の夫と話すシーン、が英語版からはカットされている。

各映画ガイドによるストーリー紹介

 各映画ガイドにおける作品紹介を比較する。短いコメント文でも、筆者の見解が分かれるのは興味深い。

ホラーの逆襲の紹介文

 十九世紀に、文豪スタンダールがフレスコ画を前に悦惚状態となったという事実から、芸術に触れて精神に異変をきたす現象をイタリアの心理学者マゲリーニが「スタンダール・シンドローム」と命名。アルジェントはその研究書を読み、映画化を企画。連続レイプ殺人を追う女刑事アンナ役でアーシアがここでも主演。ブリューゲルの名画「イカルスの墜落のある風景」を前に気を失った彼女が、人格を変容させていく様子が見どころ。

ぴあシネマクラブの紹介文

 若き婦人警官のアンナは、連続猟奇レイプ殺人事件の調査のためにフィレンツェヘ向かう。潜入捜査の最中、彼女は世界的に有名なウフィッツイ美術館に立ち寄る。そしてそこで一枚の絵を見たことで、彼女に思わぬ異変が起こってしまう。絵の中に吸い込まれそうな幻想に襲われ、失神し記憶喪失になってしまうという、”スタンダール症候群”にかかったのだ。やがてアンナは、捜査中の事件の犯人に捕らえられ、暴力的なレイプを受ける。さらに犯人は、彼女の目の前で殺人を犯し逃走。追い詰められるアンナ。事件はいつしか幻想と狂気の深淵へと突き進んでいくのだった。イタリアン・ホラーの巨匠D・アルジェント監督のサイコスリラー。

 

 


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