1983年。イタリア・トリノのとあるアパートで、若い母親が、喉奥に金属の縦笛を突き刺され無残に殺害された。頻発する女性ばかりを狙った残虐的連続殺人に、今まで平穏だったトリノの町は衝撃に震える。現場に駆けつけたモレッテ.イ警部は惨劇の一部始終を目撃していた幼い少年ジャコモを見つけるとこう告げた。「君の母親を殺した犯人は、僕の生涯をかけても捜し出す」その後、容疑者と思われる小人の作家が変死体となって発見され、犯人の死亡という結末でこの事件は終わりを告げようとしていた。
17年後。男性客と居た若い売春婦は、その男の変質的な要求や雰囲気に恐怖を覚え、男が寝ている間に家を抜け出す。そのとき間違って紛れ込んだ男のファイルを持ったまま夜行列車に逃げこんだ彼女はそのファイルの中に17年前の事件を示唆する写真や新聞の切抜きを発見する。携帯で友人に助けを求めたものの、駅に友人が駆けつけたころには既に車内で無惨にも何者かに殺されていた。さらにその友人も自分の車に戻ったところを襲われて殺された。現場に駆けつけた捜査官たちは、列車内で殺されていた女性が『小人殺人事件の真犯人を見つけた』と車掌に言い残していたことから、17年前に起こった連続殺人事件との共通点を見出すべく、当時の事件を担当していたモレッティ元警部に当時の事件を聞きに会いに行くが、モレッティはすでに現役を引退しており、事件の詳細は既に記憶の奥に追いやられていた。
そんな中、クラブの女性ダンサーが何者かに殺されるという事件が起こった。殺害状況からあの小人殺人事件との共通点が浮かび上がってくる。現場には、動物をかたどった紙片が残されており、何故か被害者である女性の爪から先が切り落とされていた。過去の亡霊に突き動かされたのように、モレッティは捜査官たちに混じり、事件の現場に立ち会った。何かが記憶の中から甦りそうな感覚にいても立ってもいられず、モレッティは自ら警察に向かい、当時の記録を拾い始める。
同じ頃、青年に成長したジャコモは付き纏って離れない母親殺害の情景を忘れようと、トリノを出て、ローマで普通の生活を送っていた。ある日、地元の旧友であるロレンツォから再び始まった殺人事件のことを知らされたジャコモは、この事件の真相を自らの手で暴き出す以外に、自分のトラウマを癒す道はないと悟り、地元トリノに戻る。連続殺人事件と自分の母親殺しとの接点を探るべく、トリノの警察に向かったジャコモはそこでモレッティに再会する。彼らは警察とは無関係に、協力して事件を追うこととなった。2人はまず、当時容疑者として上がっていた小人の廃屋を訪れ、事件への手掛かりを捜し始めた。
小人の屋敷に星を踏み入れた2人が遭遇したものは、当時から町に住む怪しい男と、書棚に乱雑に置かれた童謡の本だった。男が口ずさむその童謡の奇妙で残酷な歌詞に2人は何か引っかかるものを感じたものの、当時の記憶となかなか結びつかず、事件解決への突破口をつかめずにいた。その間にも謎の法則にのっとった殺人事件が警察の捜査を嘲笑うかのように続いていた。やがてモレッティは17年前の事件と今回の事件との決定的な相違点を見出す。そしてそれはまさに意外なる真相を示唆するものであった。が、その時既にモレッティ自身に危機が迫っていた。 |