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DUE OCCHI DIABOLICI
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1990 Color |
監督:ダリオ・アルジェント、ジョージ・A・ロメロ |
ジェシカ・ヴァルドマー:エイドリアン・バーボー |
録音:ドルビー |
「ヴァルドマー事件の真相」The Facts in the Caseof Mr. Valdmar 「黒猫」The Black Cat |
「黒猫」はアルジェント自身、お気に入りの一本だ。ジョージ・ロメロとのオムニバス映画である「マスターズ・オブ・ホラー」は小規模な企画だったため、アルジェントが十分にコントロールすることができた。アルジェントの作品の多くはアルジェント自身が興味を持った出来事をベースにして書かれたオリジナルなものである。元ネタはあるにせよ、小説を忠実に映画化した作品はなかった。「黒猫」はエドガー・アラン・ポーによる原作ものであるところが、他の作品と異なっている。 ダリオ・アルジェントは実際に黒猫を飼っていて、その猫はいつも仕事の邪魔をしていた。「オペラ座・血の喝采」の撮影中、アルジェントは猫にこうつぶやいた。「次の映画にはおまえを出してやる。スターになるぞ」。ロメロとアルジェントはポーの小説の映画化をずっと考えていた。そこに突然、ポー原作の映画を米国で撮る話が持ち上がり、アルジェントは自分の飼い猫を映画で使ったのだった。 アルジェントは子供の頃から痩せており、体が弱かった。そのため、アルジェントは父親の蔵書から読みたい本を持ち出して、1人で本を読んで過ごすことも多かった。エドガー・アラン・ポーの小説を初めて読んだのもその頃だった。アルジェントは「『マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴』でポーの原作をロメロと競作したのは、わたしに霊感を与えてくれたポーへのオマージュだ」と語っている。 |
ダリア・ニコロディはジョージ・A・ロメロのパートは、エンディング以外は好きであり、ダリオ・アルジェントのパートは始まり方は嫌いだが、エンディングが良かったと語っている。オムニバス映画という枠内で、緊張感とアルジェントのスタイルが良くでていたと評価。ただ、ダリオはまた自分の子供っぽい部分を消化しきれていないとも指摘する。例えば、写真家のアッシャーの夢のシーンでは、服装やメイクが良くないため、まるで茶番劇だと言い放つ。ダリア・ニコロディは主役のハーベイ・カイテルのことを「聡明な俳優」と評価する。いつもであれば女性の登場人物の演出に熱が入り過ぎてしまうダリオ・アルジェントだが、この映画からはダリオがハーベイ・カイテルの演技を最高のものにしようと懸命に努力している姿が画面から見て取れるからだ。一方、マデリン・ポッターの演技は粗末すぎると批判している。 |
各映画ガイドにおける作品紹介を比較する。短いコメント文でも、筆者の見解が分かれるのは興味深い。 ホラーの逆襲の紹介文 エドガー・アラン・ポーの原作を、ジョージ・A・ロメロと競作した作品。アルジェントは「黒猫」を映画化。主演にはハーヴェイ・カイテルを起用。彼は毒殺しの写真家アッシャーをふてぶてしく演じる。「デニーロなんかよりずっと素晴らしい俳優だと以前から思っていた」とアルジェント。 ぴあシネマクラブの紹介文 ホラー映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロとダリオ・アルジェントが、それぞれエドガー・アラン・ポーのホラー作品を映像化したオムニバス。ロメロは、「ヴァルドマール氏の症例の真相」でお得意のリビング・デッド(ゾンビ)を描き、アルジェントは「黒猫」で、猟奇殺人をおどろおどろしく描いていく。どっちが”マスター・オブ・ホラー”か、比べてみるのも一興。 |
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