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Dawn of the Dead
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1978 Color (Technicolor) |
監督:ジョージ・A・ロメロ |
スティーブン:デビッド・エンゲ |
20世紀末のアメリカ、大爆発を起こした惑星から発せられた特殊光線により、死者がよみがえり、生者に襲いかかり、大パニック状態に陥っていた。フィラデルフィアのスラム街。虐殺されたプエルトリコ人の死体が置かれている地下室に足をふみいれたSWAT部隊のロジャーは、同じく隊員で黒人のピーターと共に、甦る死者の頭に弾丸を撃ち込んだ。死者が生者を襲うという異常な光景を目の当たりにしたロジャーとピーターは、テレビ局で働いている友人スティーブンとその恋人フランとともにヘリコプターで、その町から逃れた。上空から見ると地上では死者たちが生者の肉を求めて行進しており、この状況はどこへいっても続いていた。ひとまず、巨大なショッピングセンターの最上階の小部屋に陣取り、武器と食料を確保した。日が経つにつれ、死者たちが増えてきたショッピングセンターの入り口を巨大なトラックでふさぐことにしたが、そのトラックを運転中のロジャーが死者に襲われ、片腕を失い、ついには死んでしまう。ある日、死者と闘い抜き、狂気の徒と化した一団がショッピングセンターを襲った。彼らは死者の首をはねるなどの残酷の限りを尽くしたが、死者の群に抵抗しきれず全滅した。ついに、エレベーターの中でスティーブンが死者に殺された。甦ったステファンは生者の肉を求めてピーターとフランのいる部屋へ昇ってきた。スティーブンに引き金を引いたピーターはいい知れぬ思いで、フランと共にヘリコプターに乗り込み、死者の群を後に飛び立つのだった。 |
ダリオ・アルジェントが編集したアルジェント監修版は、ロメロ版よりゴブリンの音楽を多用し、テンポのよい仕上がりになっている。 アルジェントはデパートで死体を処理するシーンなどを自ら演出し、自分の編集版に加えた。日本で劇場公開されたバージョンはアルジェント版がベースになっている。残虐シーンを静止画で処理し、「ある惑星の爆発による特殊光線が地球に届いたため、死体が甦った」という説明のテロップを追加した。また冒頭に、隕石が地球に衝突するパニックを描いた映画「メテオ」の一部を惑星爆発シーンとして流用している。 日本での劇場公開時には監督のジョージ・A・ロメロの名前はクレジットから削られ、エンディングは静止画となった。エンドクレジットは外され、スクリーンの幕が下りても音楽が流れ続けた。テレビ初放映時には音楽が「サスペリア」の音楽に差し替えられていた。 次は、メインタイトルの違い。全体的に欧州版の方が北米版に比べて文字が大きく派手な印象を受ける。 アルジェントはスクリプトコンサルタントとしてクレジットされている。欧州版ではアルジェントの扱いが大きいが、北米版では3人のスタッフと同時に名前がクレジットされ、扱いが小さい。 |
各映画ガイドにおける作品紹介を比較する。短いコメント文でも、筆者の見解が分かれるのは興味深い。 ぴあシネマクラブの紹介文 宇宙からの怪光線により、死者が次々とよみがえり人間を襲い始める。しかも死者・ゾンビに襲われた人間は、吸血鬼のように同じく自らもゾンビと化してしまう。TV局員、コマンド部隊員らが、郊外のショッピング・センターで、ゾンビ軍団と死闘を繰り広げるが……。第1作「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に始まり、「死霊のえじき」にまたがる本編はロメロの最高傑作の一本として多くのファンを熱狂させた。SFXは、トム・サヴィーニが担当。 「ディレクターズカット完全版」 ホラー映画の傑作として名高い「ゾンビ」を監督であるG・A・ロメロ自身が編集し直したディレクターズカット版で、日本でも'94年に劇場公開された。'79年に日本で公開されたいわゆる「ダリオ・アルジェント監修版」との違いは、ランニングタイムが20分長い139分であること、音楽をG・A・ロメロが選曲し、より殺伐としたものにしていること、さらにカットされた場面がいくつか復活している点である。ゾンビの頭がヘリコブターのプロペラで吹っ飛ぶシーンなどがプラスされ、暴走族がゾンビにパイを投げるシーンや、主人公のスティーブンがエレベーター内でゾンビに襲われるシーンが長くなっている。全体にドキュメンタリー色が強くなり、より怖さが増している。なお、ビデオは「ダリオ・アルジェント監修版」「ディレクターズカット完全版」の両方が出ている。 |