Dawn of the Dead
ゾンビ

Also Known As: Zombi (1978), Zombie: Dawn of the Dead (1978)

"When there's no more room in hell, the dead will walk the earth."
-Peter

zombie

1978 Color (Technicolor)

When there is no more room in hell...the dead will walk the earth


[STAFF]

監督:ジョージ・A・ロメロ
製作:ユナイテッドフィルム、ローレルグループ
制作:クラウディオ・アルジェント、ビリー・バクスター、アルフレッド・クオモ、リチャード・P・ルービンシュタイン、ドンナ・シーゲル、ハーバート・R・スタインマン
脚本:ジョージ・A・ロメロ
撮影:マイケル・ゴーニック
音楽:ゴブリン、ダリオ・アルジェント
衣装:ジョジー・クルソ
編集:ジョージ・A・ロメロ
メイクアップ助手:ナンシー・アレン
キャスティング:ジョン・アンプラス
スクリプトコンサルタント:ダリオ・アルジェント
照明:カール・アウゲンシュタイン
配給コンサルタント:ベン・バレンホルツ
Don Berry .... explosive effects
編集助手(イタリア版):ピエロ・ボッザ
録音:トニー・ブーバ
セットデザイナー:ジョジー・カルソ
制作主任:ジラ・クリントン
Zilla Clinton .... production manager
Kenneth Davidow .... assistant editor
Tom Dubensky .... assistant cameraman
Joseph Eberle .... graphics
Christine Forrest .... assistant director
Clayton Hill .... weapons co-ordinator
Jeannie Jefferies .... first make-up assistant
Barbara Lifsher .... set designer
Michelle Martin .... wardrobe
Alberto Piferi .... additional dialogue: Italian edition
Tom Savini .... make-up & cosmetic special effects, stunts
Taso N. Stavrakis .... stunts
Jay Stover .... unit manager
Vince Survinski .... business manager
Gary Zeller .... explosive effects

録音:モノラル
フィルムネガフォーマット:35 mm
現像:スフェリカル
フィルムプリントフォーマット:35 mm
画面比 1.85 : 1
日本語版監修:野中重雄
ロケ地:ピッツバーグ、モンロービル(ロケ地情報)
配給:日本ヘラルド映画
時間:イタリア119分、米国125分(16mm版139分 )、日本115分  



[CAST]

スティーブン:デビッド・エンゲ
ピーター:ケン・フォリー
ロジャー:スコット・H・ライニガー
フラン:ゲイラン・ロス
フォスター医師:デビッド・クロフォード
バーマン:デビッド・アーリー
科学者:リチャード・フランス
テレビのコメンテーター:ハワード・K・スミス
Daniel Dietrich .... Givens
Fred Baker .... Commander
James A. Baffico .... Wooley
Rod Stouffer .... Young Officer on Roof
Jees Del Gre .... Old Priest
Clayton McKinnon .... Officer in Project Apt
John Rice .... Officer in Project Apt
Ted Bank .... Officer at Police Dock
Randy Kovitz .... Officer at Police Dock
Patrick McCloskey .... Officer at Police Dock
Josef Pilato .... Officer at Police Dock
暴走族:パスカル・ブーバ、トニー・ブーバ、デイブ・ホーキンス、トム・キャプスタ、ルーディ・リッチ、トム・サビニ、マーティ・スキッフ、ジョー・シェルビー、タソ・N・スタブラキス、ニック・タロ、ラリー・バイラ
ゾンビ:シャロン・チェカッティ、パム・チャットフォールド、マイク・クリストファー、クレイトン・ヒル、ジェイ・ストーバー
テレビのプロデューサー:クリスティーン・フォレスト
スクリュードライバーゾンビ:ジョン・ハリソン
テレビのディレクター:ジョージ・A・ロメロ


ストーリー

 20世紀末のアメリカ、大爆発を起こした惑星から発せられた特殊光線により、死者がよみがえり、生者に襲いかかり、大パニック状態に陥っていた。フィラデルフィアのスラム街。虐殺されたプエルトリコ人の死体が置かれている地下室に足をふみいれたSWAT部隊のロジャーは、同じく隊員で黒人のピーターと共に、甦る死者の頭に弾丸を撃ち込んだ。死者が生者を襲うという異常な光景を目の当たりにしたロジャーとピーターは、テレビ局で働いている友人スティーブンとその恋人フランとともにヘリコプターで、その町から逃れた。上空から見ると地上では死者たちが生者の肉を求めて行進しており、この状況はどこへいっても続いていた。ひとまず、巨大なショッピングセンターの最上階の小部屋に陣取り、武器と食料を確保した。日が経つにつれ、死者たちが増えてきたショッピングセンターの入り口を巨大なトラックでふさぐことにしたが、そのトラックを運転中のロジャーが死者に襲われ、片腕を失い、ついには死んでしまう。ある日、死者と闘い抜き、狂気の徒と化した一団がショッピングセンターを襲った。彼らは死者の首をはねるなどの残酷の限りを尽くしたが、死者の群に抵抗しきれず全滅した。ついに、エレベーターの中でスティーブンが死者に殺された。甦ったステファンは生者の肉を求めてピーターとフランのいる部屋へ昇ってきた。スティーブンに引き金を引いたピーターはいい知れぬ思いで、フランと共にヘリコプターに乗り込み、死者の群を後に飛び立つのだった。


幻に消えたアルジェントとロメロのゾンビ2

 サスペリアからインフェルノにいたる3年間の途中で、アルジェントは新しい体験をする。ジョージ・A・ ロメロとの出会いだ。ニューヨーク生まれのロメロはピッツバーグの郊外で処女作のナイト・オブ・ザ・リ ビングデッドを11万4000ドルの低予算で撮影する。アルジェントはロメロのこの作品を見て、すばらしいと感じた。


 ロメロの作品を作品を好きになったアルジェントは、ある日、ニューヨークで ロメロと会う約束をした。そして語り合い、ロメロが次の映画の資金集めに難航していると知ると、アルジェントは進んで協力を申し出て、一緒に映画を作る話がまとまった。それがゾンビだ。プロデューサーとしてはダリオの弟であるクラウディオ・アルジェントの名がクレジットされた。。ロメロとアルジェントは一緒に脚本を書き、アルジェントはゴブリンとともに音楽を制作。ダリオ・アルジェントは脚本協力と音楽にクレジットされている。アルジェントはロメロのことを大親友と呼ぶ。2人は違う傾向の作品を作っているが、気持ちは変わらないというのだ。脚本を書き始める前、アルジェントはゾンビ伝説を調査するために、カリブ諸島へ出かけた。ゾンビを作っていくうえで、ロメロはアメリカ流を、アルジェントはヨーロッパ流を貫いたが、こうしたコンビネーションは良い結果をもたらした。

 アルジェントは北米以外の配給権と編集権を得た。アルジェントは米国公開版を、よりアップテンポなアクション映画となるように編集、音楽もゴブリンの作曲・演奏による曲を多く使用した。1977年のゾンビの日本初公開時には、アルジェントの監修したバージョンをさらに短くしたプリントが上映された。一方のロメロのディレクターズ・カット版は、ライブラリーの音源から音楽を使用し、ゴブリンのオリジナル音楽はほとんど使われていない。ロメロ版は139分と長く、ドラマ部分に厚みを持たせている。

 ゾンビはヨーロッパで大ヒットとなり、イタリアでは多くの模倣作品が制作された。例えば、ルチオ・フルチ監督のサンゲリアはヨーロッパではゾンビ2のタイトルで公開され、ゾンビの続編であるかのような宣伝がなされた。レクランファンタスティック誌のロベルト・シュロ ッコフ氏に対して、アルジェントは「それがジョージとわたしをいらつかせた。自分たちは本当にゾンビ2(死霊のえじき)を計画していたからね。ゾンビ2とゾンビ3が公開されるまで3年間、二人は作業を中断した。しかし、もうゾンビの続編もどきの映画が作られることはないだろう。これで正当な続編ができるとロメロとわたしは考えた」 アルジェントはロメロと共同でゾンビの続編の原案を40ページほど書いたと明らかにしている。ゾンビと同様、二人で仕事をしようとしたのだ。

 しかし、この共同作業が実を結ぶことはなかった。ゾンビの続編の制作が予定されていた1984年から85年の間、ヨーロッパの通貨に対して米ドルが異常に高騰したからである。 なぜロメロと組まなかったのかという質問に対して、アルジェントは「制作費が高くなりすぎたからだ。ヨーロッパ人にとって、ドルを扱うのは不可能だった。2年前なら可能だっただろうが、今では制作費の半分しか 用意できない。制作費は500万米ドルぐらいかかるだろう。それは不可能だ。脚本を書くのに1カ月間無駄にしたが、脚本は気に入っている」と話す。こうして、アルジェントが係わらずに完成したゾンビの続編、死 霊のえじきはロメロ自身も気に入っていないという。予算のために脚本の大幅な修正が必要だったからだ。 「予算が削られたため、最初の脚本のような作品を作ることはできなかった。最初はゾンビ版インディジョーンズみたいな話だった」と死霊のえじきの特殊効果を担当したトム・サビニは告白する。「それは、とてつもなく大掛かりなストーリーだった。ジョージは死霊のえじきはゾンビ3部作の最後の作品ではないと思っているだろう。作りたかったものと全く違うんだからね」

バージョン違い

 ダリオ・アルジェントが編集したアルジェント監修版は、ロメロ版よりゴブリンの音楽を多用し、テンポのよい仕上がりになっている。 アルジェントはデパートで死体を処理するシーンなどを自ら演出し、自分の編集版に加えた。日本で劇場公開されたバージョンはアルジェント版がベースになっている。残虐シーンを静止画で処理し、「ある惑星の爆発による特殊光線が地球に届いたため、死体が甦った」という説明のテロップを追加した。また冒頭に、隕石が地球に衝突するパニックを描いた映画「メテオ」の一部を惑星爆発シーンとして流用している。

 日本での劇場公開時には監督のジョージ・A・ロメロの名前はクレジットから削られ、エンディングは静止画となった。エンドクレジットは外され、スクリーンの幕が下りても音楽が流れ続けた。テレビ初放映時には音楽が「サスペリア」の音楽に差し替えられていた。

 次は、メインタイトルの違い。全体的に欧州版の方が北米版に比べて文字が大きく派手な印象を受ける。

メインタイトル、欧州版(左)と北米版(右)

アルジェントはスクリプトコンサルタントとしてクレジットされている。欧州版ではアルジェントの扱いが大きいが、北米版では3人のスタッフと同時に名前がクレジットされ、扱いが小さい。

アルジェントの名前は欧州版は一枚看板扱いだが、北米版では扱いが小さい

各映画ガイドによるストーリー紹介

 各映画ガイドにおける作品紹介を比較する。短いコメント文でも、筆者の見解が分かれるのは興味深い。

ぴあシネマクラブの紹介文

 宇宙からの怪光線により、死者が次々とよみがえり人間を襲い始める。しかも死者・ゾンビに襲われた人間は、吸血鬼のように同じく自らもゾンビと化してしまう。TV局員、コマンド部隊員らが、郊外のショッピング・センターで、ゾンビ軍団と死闘を繰り広げるが……。第1作「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に始まり、「死霊のえじき」にまたがる本編はロメロの最高傑作の一本として多くのファンを熱狂させた。SFXは、トム・サヴィーニが担当。

「ディレクターズカット完全版」

 ホラー映画の傑作として名高い「ゾンビ」を監督であるG・A・ロメロ自身が編集し直したディレクターズカット版で、日本でも'94年に劇場公開された。'79年に日本で公開されたいわゆる「ダリオ・アルジェント監修版」との違いは、ランニングタイムが20分長い139分であること、音楽をG・A・ロメロが選曲し、より殺伐としたものにしていること、さらにカットされた場面がいくつか復活している点である。ゾンビの頭がヘリコブターのプロペラで吹っ飛ぶシーンなどがプラスされ、暴走族がゾンビにパイを投げるシーンや、主人公のスティーブンがエレベーター内でゾンビに襲われるシーンが長くなっている。全体にドキュメンタリー色が強くなり、より怖さが増している。なお、ビデオは「ダリオ・アルジェント監修版」「ディレクターズカット完全版」の両方が出ている。



back  next