有機的スリラー(...サスぺリアPART2雑感 その2)    < これも長い


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投稿者 NT 日時 1998 年 2 月 13 日 21:13:53:

   ・・・と、ここまでぐだぐだ考えてみると、ひょっとしたら「サスぺリアPART2」は何やら普通の恐怖映画とは少し次元の異なる設計思想に基づいて造られた映画じゃないかとも思えてくるのです。だいたいにおいて普通の恐怖映画は確固たるアイデアや物語を客に見せるようにできているもんなんですが、「サスぺリアPART2」にはあまりそういったごたいそうな代物は用意されてないのです。じゃあ代わりに何を見してくれるのと言うと、単独では小さな意味しかないバラバラなアイデアのつながりによって形成された一つの有機体のような複雑で抽象的な世界なわけです。
   この仮説が正しいとすると、多くのアメリカ映画に適用可能だった一点攻略型理解の方法論が「サスぺリアPART2」に全く通用しなかったのは当たり前であるということになります。なにせ、具体的なものなんぞ始めっから存在してなかったわけですから。な〜んだ、そういうことか。言ってみれば、普通の映画は筋肉や骨格を見せるのに対して「サスぺリアPART2」は神経系統を見せる映画なんだ。考えてみりゃアルジェントの映画のいくつかは同じような造りになっていて、「サスぺリア」なんかは魔女の話ということになっているみたいだけど、あれはほんとにそうだったんですかね。確かに魔女がチラッと出てきたみたいだったけど、むしろそれ以外のモノのほうを沢山見せられたような気もする。
   でも「サスぺリアPART2」のようなはなれ業は、そこいらの監督にはなかなか簡単にできるもんじゃあございません。だいいちアルジェント本人が「サスぺリアPART2」以後は一度も成功していないぐらいですから。そう言えば、N・ローグの「赤い影」も同じような思想で造られてた感じで面白かったけど、複雑さと緻密さの点では「サスぺリアPART2」のほうが数段上かな。
   それから引き合いに出して申し訳ないが、同じ見方からちょっと残念だったのがフルチの「ビヨンド」だと思いますね。この映画には、実に斬新な場面や卓抜なアイデアがたくさんあって、予告編だけ見てるとモノ凄い映画のように思えてしまうのです。ところが本編を見てみると、これら豪華な見せ場のいくつかはバラバラなモノの単なる羅列に終わってしまっていてどおーも組織だってうまく機能しておらず、結果として見終わった後には何か食い足りない印象が残ってしまう。もっとも、フルチ先生ご自身がこの映画を称して”plotless!(スジはない!)”などとのたまわっておられたそうなので、これは別に脚本が破綻してたわけではなく狙ってそうしたみたいなんですけど。でも、もし「ビヨンド」が「サスぺリアPART2」みたいな造りになっていれば、「サンゲリア」をふっ飛ばすような壮大なパノラマが展開できたに違いないのになあ・・・惜しい惜しい。
   ということで、なんか訳の分からんことをだらだら書いてしまいましたが、別に映画は脚本が命だなどというかたい事を言わんとしたのではありませんで、「サスぺリアPART2」の造りはなんとなく面白いと言う事が目的でした。それでこういう有機野菜みたいな変な題名になってしま いました。
(おわり。長すぎ)


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