投稿者 ユーベ 日時 1998 年 1 月 18 日 02:44:35:
「わたしはアルジェント者」の中でも話題にしましたが、これは論議すべき問題なので改めてこの場を借りて語りたいと思います。アルジェントの作品の中でなぜヘヴィメタルが流れるのか。これが顕著になりだしたのは「フェノミナ」あたりでしょうか。ちょうどニュー・ウエイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタルが全盛の80年代前半です。ゴブリンのクラウディオ・シモネッティと長年仕事を続け、元々プログレやロックが好きだったアルジェントにしてみれば、ヘヴィメタルの激しさの中に仄かに漂う哀愁と悲壮感が、自分の映画に合うと判断し、挿入したのでしょう。86年にミケーレ・ソアビを監督にして撮られたアルジェント映画の撮影秘話を語るドキュメンタリー「World of Horror」でも、映画音楽のことを語ってるし、バックで映画に使われたヘヴィメタルがガンガンかかっています。趣味の延長線上なだけという批判を浴びそうですが、彼の選曲は的確で、映画の恐怖心を煽ると同時に、残虐シーンにマッチしており、その曲の歌詞や題名を見ても選曲された理由がわかるはずです。「デモンズ1、2」は製作した作品なので、アルジェントと切り離して考えることもできますが、アルジェント監督作品の映像美が好きな人で、この手の音楽が生理的に受け付けないといった人にとってはただ騒々しくて耳障りなだけかもしれまんが、アルジェントの映画の中では、アメリカの最近のホラーもどきの映画ほど無造作に使われてることはなく、作品のイメージを壊さぬ程度に加減して使われてるので、大目に見て下さい。シモネッティの音楽も人によっては「不愉快な音楽」になるのだから。
サイモン・ボスウェル、ブライアン・イーノ、元ローリング・ストーンズのビル・ワイマン、ひいてはクラウディオ・シモネッティ率いるゴブリンの音楽は、ヘヴィメタルと距離があるものではなく、かなり近い位置にあると思いますよ。ヘヴィメタルの中にも、イギリスのハード・ロック(ディープ・パープルのジョン・ロード、ユーライア・ヒープのケン・ヘンズレーといったキーボード・プレイヤー)、北欧メタル(天才キーボード・プレイヤー、イェンス・ヨハンソン)なんかは、前述の人たちに通じるものがあると思うんですが。EL&Pのキース・エマーソンが好きな方はそれが特にわかると思います。あんまり差別せずにひとまとめにして聴いてもらえれば嬉しいんですが。