「新・サイコファイル」と「トラウマ」


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投稿者 矢澤利弘 日時 1998 年 4 月 05 日 23:57:26:

回答先: 不幸の名作 投稿者 中川圭一 日時 1998 年 4 月 05 日 21:54:43:

中川さん、みなさん、チャオ〜。
: 今日友人と友人の部屋で「新サイコファイル」を見る予定だったのですがどこにも無く(確か昨日発売だったと思うのですが)久しぶりに「トラウマ」を見ました。

「新・サイコファイル」は4月4日に確かに発売されています。これでLa Porta Sul Buioの全4話が出そろった訳です。今回は「人形」と「隣人」の2話を収録。前回同様に冒頭のアルジェントの解説はもそもそとした話し方で、イタリアンなスリラーを醸し出しています。脚本・監督はアルジェントではないのですが、マリオ・フォリエッティとルイジ・コッツイがそれぞれのエピソードを担当し、個性的な世界を構築しています。映像的にはさすがに時代を感じさせますが、60分で手際よくまとめた佳作といえるでしょう。
アルジェントのすべてを知りたい方にはおすすめです。

: アルジェントにはこの手のトラウマ推理ものをもっと撮って欲しいですね。
: ちなみに矢澤さんもおっしゃってましたが、「スタ・シン」も私は名作だと思います。
: この2作チャットしたら肯定派と否定派に別れて、おもしろいかもしれませんね。

そうなんですね。「トラウマ」はアルジェントの過去の集大成的な映画であり、過去の作品の小道具がちりばめられています。黒い手袋、一人称カメラ、降霊会、水の演出、エレベーター、首くくり、カーテン、などなど、こうした小道具がアップテンポで現れては消えていきます。トラウマはそうした贅沢な映画といえましょう。ここで、「トラウマ」がカルトとなり得ないのは悲しい事実です。この映画だけを単独で楽しむのは難しいのでしょう。すなわち、「トラウマ」はアルジェント・フリークスのために存在する映画なのかも知れません。はじめてアルジェントを体験する観客には受け入れがたい映画のような気がするのです。すべての要素が詰め込まれ、実は何の要素もないという作品なのだというのが、正直な感想です。「トラウマ」こそが、アルジェントの原点復帰の作品であり、この映画をどう評価するかで、見る人のアルジェント度がわかりそうです。
つづく「スタンダール・シンドローム」でアルジェントは再び神の領域に復帰したと私は思いました。サイコ・スリラーとしては異色の出来であり、アルジェントの全作品のなかで最も人のこころを丁寧に扱ったものといえるでしょう。アルジェントが人の精神をこれだけ丁寧に扱ったのは初期の3部作以来、いや「スタンダール」が一番でしょう。
それとともに人々が潜在的に有する恐怖心をかき乱すというアルジェントの手法はここでも健在でした。例えば、かみそりに対する共通の恐怖感をあおる技はここでも健在です。かみそりを口に入れるだけで、皮膚を切らなくても十分に恐いのです。

というわけで、「スタンダール・シンドローム」と「トラウマ」もチャットで解明したいですね。その節はよろしくお願いします。




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